米が炊けるまでの話
甘い目標

1月18日(木)、週末ヒロインの夜です。

 

 

 

私の右ななめ前方、冷蔵庫の上の炊飯器、オレンジ色の炊飯ランプが点灯しています。

という事で今夜は番外編。

 

 

 

今日は新年の挨拶もふまえて、高円寺のカフェに行ってきました。

そこで居合わせたお客さんたちとケーキの話になったのですが、とにかくみんなケーキに詳しい。

僕を入れて店内には6人がいましたが、僕以外の全員がザッハトルテ、またの名をザッハートルテを食べた事があるというのです。

こちとらケーキに疎いものですから、ザッハートルテがケーキの名称だということすらあやういわけです。

 

 

 

だから今年は目標をひとつ決めましたよ。「年内にザッハートルテを、ベッキーと食べる」

 

 

 

おやすみ日本

 

 

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ボイルウィンター

1月17日(水)、透明傘の夜です。

 

 

 

 

今年はそこまで、寒くないような気がしています。基本的にシャツ、カーディガン、アウターの三枚で何とかなっている。何とかなっているなんて言い方をしますと「ちょっと寒いんだけどまあ大丈夫」なんて受け止められてしまいますけれど、まあその通りですね。

ただ、今ロシアの方では大変な寒波のようで、なんですか、氷点下65度らしいです。冗談みたいな数字ですね。数字だけで言えば、僕の学生時代の理科の平均点数くらいでしょうか。まあ適当ですけどね。別に胸を張って言うことじゃありませんが、音楽のテストで全部書いたのに0点の時がありましたね。「先生、僕は目を瞑って猫踏んじゃったが弾けるよ」なんて言ったところで1点もくれませんでした。

 

 

 

 

冬の寒さはいつが本番だったでしょうか。毎年やってくる冬なのに、そのへんがどうも自分の中でうやむやなのです。これは気温を言っているわけではなくて、感覚の問題だからでしょう。例えば、四月より五月の方があたたかい。でもそれよりもあたたかいと感じるのは、冬明けの春一番が吹いた朝だったりします。同様に、11月より12月の方が寒い。でも寒いと感じるのは、10月の木枯らし1号が吹く夕暮れだったりするのです。

 

 

 

 

他人に聞いたところで感覚は人それぞれだから、人でないものに聞いたら何か的を得たような確信を突くような答えが返ってくるかもしれない。そう思ってとある冬の日、空から降ってきた雪の粒を手のひらに受け止めると、その雪の粒、人呼んで越路吹雪に聞いてみたのです。「冬で一番寒いのは、いつなんですか」と。しかし答える間もなく私の手のひらの中で消えてしまった。謎は謎のままに残りましたが、人間はあたたかいという事を再認識することになりました。私の平熱は36度2分。では、愛するものや人に対する情熱は一体何度なのか。これは一体誰に聞いたらいいのでしょうか。

 

 

 

 

ところで、「冬本番」という言葉を聞きますが、ということは練習があるはずです。冬がどこかに集まって、歌やらダンスやら、もしかしたら学校のようなものがあって、とあるタイミングに本気を出せるように冬としての訓練を受けているのかもしれませんね。小さい秋を見つけたあなた、次は本気の冬を探してみてください。と、ここで米が炊けました。今日はお豆腐の味噌汁です。それではまた。

 

 

 

 

 

おやすみ日本

 

 

 

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100万円の振袖

1月16日(火)、デビルマンの夜です。

 

 

 

 

今夜もいつものように米を研ぎ、急速炊飯ボタンを押しました。それから豆腐を賽の目に切ると、すべて1が上にくるようにお鍋に入れて何となく茹でています。あとでお味噌をといで卵を入れて汁ものにしようと思います。まあそんな感じで、今日も米が炊けるまでお付き合い願いたいなと思っておりますよ。

 

 

 

 

先日、大家さんに新年のご挨拶に行きました。大家さんの家は、うちから大体ネコが走れば4秒くらいの距離にあります。つまり、いつでも行けるわけです。仕事のきりがいいところで電話をかけると、留守番電話につながりました。伝言は何も残さずに一度切ると、程なく深く深く閉ざされた私の部屋の雨戸の向こうの駐車場に、一台の車が入っていく気配を感じました。エンジンが止まり、バタンとドアを閉める音。砂利を踏む足音こそ聞こえませんが、100パーセント大家さんです。間違っていたら死んでもいいです。合っていたから、こうして書いているんです。

 

 

 

 

手土産の吉原殿中(茨城の銘菓)を持ってインターホンを押すと笑顔の大家さんが出てきました。まぁちょっと入りなさいよと中に招き入れてもらい、茶の間に入り、お線香を上げました。旦那さんが昨年亡くなったのです。こうしてタイピングを打っているこの部屋に住ませてくれたのが、旦那さんでした。一度色んなものを失ってかなり落ち込んでいた僕を、茨城に帰るつもりだった僕を東京に残してくれた恩人です。無事部屋が決まったあとに今まさに招き入れてもらった茶の間で三人でけんちん汁を食べたこと。恥ずかしながら泣きそうだったこと。めちゃくちゃ美味しかったこと。目を瞑ると「頑張ってるかね?」と、声が聞こえてきそうです。今年も頑張りますと、手を合わせました。

 

 

 

 

まあこっちに座りなさいよと、炬燵テーブルに向かい合わせて座り、大きくて甘いみかんを二人で食べながら世間話を始めました。大家さんが「初夢にあなたが出てきてね。明けましておめでとうございますなんて言うのよ。だから私、喪中だからおめでたくないのよって言ったのよ」なんて笑っていました。僕の初夢はなぜかキムタクが出てきて、なぜキムタクが出てきたんだろうという夢だったので、大家さんには言わないでおきました。それから孫が今年成人式だというので、振袖詐欺の話になりました。地域的に近いこともあって、お孫さんは大丈夫でしたかと聞くと、うちは私の娘の時に買ってあったから大丈夫よと安心の返答。そしてそのお値段なんと100万円。腰を抜かしましたが幸い座っていたのでことなきを得ました。「主人が渋いのが好きだから最近の若い子が着るような感じの色合いではないんだけどね、これと決めたらこれだと言ってきかない人だったのよ」と笑う大家さんは、ご自身が着るものもよく決められていたみたいで、「そこにかかっているコートもそうよ。君は絶対にこの色が似合うんだって言ってきかないの。私は着せ替え人形みたいじゃないねぇ」と、なんだか嬉しそうでした。

 

 

 

 

なんだかんだ小一時間経つと、ごはん食べていっちゃいなさいよとピザのチラシ片手に、とここで米が炊けました。それではまた。

 

 

 

 

おやすみ日本

 

 

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