米が炊けるまでの話
エドワード街道

4月28日(火)、着陸機ホイヘンスの夜です。

 

 

 

外出自粛が続いている。

とはいえヒッチコックの映画じゃないけど、

玄関の向こうに狂ったハトが待ち構えているわけではないので、

生活の為に外には出れる。

 

 

 

ということで先日は自転車に乗って、近くの弁当屋に晩御飯を買いに行ってきた。

道中、ラジオからは緊急事態宣言により不要不急の外出は控えるようにと繰り返され、

五日市街道は夜20時にも関わらずしんと静まり返っていた。

非現実感があるのにはあるのだが、逆の皿には日に日に現実感も乗っかり始め、

当初に比べこの天秤も随分と釣り合いが取れるようになってしまった。

 

 

 

店に着くと先客が2〜3人。

生姜焼き弁当を頼むと、忍成修吾似の店員が言うには大体一時間かかるという。

どんだけ丁寧に作ってくれるんだと思いきや予約がたくさんなんだそうだ。

では一時間後にまた来ますと言い、引換券を貰って一旦店を後にした。

 

 

 

iPhoneで一時間にタイマーをセットし、五日市街道を立川方面に走り出した。

街道沿いのレストランはほとんど閉まっていたが、ポツリポツリと営業している店もある。

夜なので店内がよく見える。客は一人か二人、多くても三人といったところである。

まさか五日市街道でエドワード・ホッパーの名作、ナイトホークスを連想する日がくるとは思わなかった。

 

 

 

芋窪街道という大きな通りを突っ切り、立川市役所付近まで来たところで30分経ったので、

そこから立飛の方へ進路を変え、真っ暗で巨大なララポートを眺めながら道沿いに進む。

するとそのララポートの立体駐車場から空気を震わせるほどの雄叫びとともに8万匹の常軌を逸した犬がこちらに向かってくる。

と、仮定して先ほど突っ切った芋窪街道に乗っかり砂川七番まで自転車を颯爽と漕いだ。

 

 

 

弁当を受け取り家に戻ると、ハイボールを作り、受け取りまでに一時間かかった生姜焼き定食を5分で完食。

その後少し仮眠を取り、豚になる直前に起きると23時過ぎから先輩と予定していたズームで飲みながら話した。

そもそも去年の夏頃に久々に飲みましょう、なんて話をしていたがまさかこんな形でとは思いもよらず。

 

 

 

そう遠くない未来に、また居酒屋で出汁巻でもつつきながら飲みたいものだ。

 

 

 

 

おやすみ日本

 

 

 

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ビールの復讐

4月21日(火)、デウス・エクス・マキナの夜です。

 

 

たまに一人でビールを飲む。

ところがこのビールがたいしてうまくない。

人と飲むとあんなにうまいのに、なぜこうも違うのか。

私が思うに、これはビールの復讐なんじゃないのかと思う。

 

 

 

おそらく我々はビールというものを普段から軽視しているところがある。

居酒屋でも「とりあえずビール」「ビールでいいや」「もう一杯だけビールいこうかな」「もうビールはいいや」

などと言ったあからさまにビールを軽んじる言動を誰もが一度はとっていることだろう。

 

 

 

もちろんビール大好きビール党の人もいるが、

だからといってわざわざ「絶対にビール」「ビールじゃなきゃいや」「次ももちろんビール」「もうビールしかいらない」

と言ったビールが歓喜するワードを声に出していう人は少ない。

 

 

ビールの問題は大体の人が飲める、というところにある。

だからこそ「とりあえずビール」といえるのであって、我々が軽視しているのは安心の裏返しというところもある。

しかしそれはもちろん人間の勝手気儘な都合であるからして、ビールからしたらそんな都合は通らない。

それでもビールは健気に最高の状態で我々の前に現れては消費されていく。

だがそれは最高の状態で復讐するための準備に過ぎない。

 

 

 

優しいビールの唯一反抗できる場所。それが一人ビールの時である。サシで勝負というわけだ。

スーパーで何となくカゴに入れた瞬間から、もうビールは我々に対して牙を剝いている。

そして我々の心の声「とりあえずあれば飲むだろう」を決して聞き逃してはくれない。

 

 

 

家に着く頃には、ビールはもはやビールの形をした悪魔へと姿を変えている。

我々が「とりあえず」冷蔵庫に入れる限りいつまでも冷えることはないし、

我々が「とりあえず」飲む限り喉越しを感じることはない。

 

 

 

優しさを殺しただただ冷ややかな対応に徹するその様

まさにスーパードライエクストラコールドである。

 

 

 

おやすみ日本

 

 

 

 

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春の嵐

4月7日(火)、ブルマの夜です。

 

 

昨日確定申告を無事提出し、苦手な会計処理から解放された。

税務署は自宅から自転車で30分程の場所にある。

春真っ盛り、風を切って走るのは気持ちがよい。

本当なら桜の木の下でバカだのアホだの言い合える連中と

身も心もポカポカしたいところだが、今年はそれが叶わない。

 

 

本来、「新型」という言葉は驚異であるべきだと思っている。

しかし今回は脅威として現れた。

 

 

人間のみならず猫やトラにも忍び寄り、

今度は我々かとチワワでなくとも犬も震える事態である。

 

 

政府から外に出るなと要請もあるが、保証がない限りそうもいかない人もたくさんいる。

また別のベクトルでは、そもそも何が起きても何も感じない人は一定数いるので、

このへんを制御するのは強制でもしない限り大変難しいことだろう。

私たちは機械ではないから、

個人個人が所有する危機管理能力を一旦すべてクラウドに預け、平等に再分配なんてことはできない。

 

 

また、災害時には正常性バイアスという言葉をよく聞くが、それが作用している面もあるだろう。

私も20歳の時にある病気ですぐに入院しろと医者に紹介状を渡されたが、

救急車に乗る前に一度ロッテリアでエビバーガーセットをむしゃむしゃ食べた覚えがある。

これは違うか。

 

 

赤痢、チフス、ペスト、スペイン風邪、天然痘、マラリア、エボラ等

人類の歴史は感染症との戦いでもあったわけだから、今回も負けるわけにはいかない。

しかし昔とは比にならないくらい医学も発達し、抗生物質も開発されて尚この強敵の出現。

ウイルス側のサイヤ人的能力は勘弁してほしいところだ。

 

 

 

おやすみ日本

 

 

 

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