米が炊けるまでの話
ビールの復讐

4月21日(火)、デウス・エクス・マキナの夜です。

 

 

たまに一人でビールを飲む。

ところがこのビールがたいしてうまくない。

人と飲むとあんなにうまいのに、なぜこうも違うのか。

私が思うに、これはビールの復讐なんじゃないのかと思う。

 

 

 

おそらく我々はビールというものを普段から軽視しているところがある。

居酒屋でも「とりあえずビール」「ビールでいいや」「もう一杯だけビールいこうかな」「もうビールはいいや」

などと言ったあからさまにビールを軽んじる言動を誰もが一度はとっていることだろう。

 

 

 

もちろんビール大好きビール党の人もいるが、

だからといってわざわざ「絶対にビール」「ビールじゃなきゃいや」「次ももちろんビール」「もうビールしかいらない」

と言ったビールが歓喜するワードを声に出していう人は少ない。

 

 

ビールの問題は大体の人が飲める、というところにある。

だからこそ「とりあえずビール」といえるのであって、我々が軽視しているのは安心の裏返しというところもある。

しかしそれはもちろん人間の勝手気儘な都合であるからして、ビールからしたらそんな都合は通らない。

それでもビールは健気に最高の状態で我々の前に現れては消費されていく。

だがそれは最高の状態で復讐するための準備に過ぎない。

 

 

 

優しいビールの唯一反抗できる場所。それが一人ビールの時である。サシで勝負というわけだ。

スーパーで何となくカゴに入れた瞬間から、もうビールは我々に対して牙を剝いている。

そして我々の心の声「とりあえずあれば飲むだろう」を決して聞き逃してはくれない。

 

 

 

家に着く頃には、ビールはもはやビールの形をした悪魔へと姿を変えている。

我々が「とりあえず」冷蔵庫に入れる限りいつまでも冷えることはないし、

我々が「とりあえず」飲む限り喉越しを感じることはない。

 

 

 

優しさを殺しただただ冷ややかな対応に徹するその様

まさにスーパードライエクストラコールドである。

 

 

 

おやすみ日本

 

 

 

 

新夜便 comments(0) -
Comment








<< NEW | TOP | OLD>>